Ⅲ-1-6 無登録業者への対応
⑴ 無登録業者等の実態把握等
利用者からの苦情、捜査当局からの照会、暗号資産交換業者・協会等からの情報提供又
は新聞やインターネット広告等から、無登録で暗号資産交換業を行っていると疑われる者
(以下「無登録業者等」という。)を把握した場合は、警察や地域の消費生活センター等へ
の照会、無登録業者等への直接確認(電話やメール等の確認等、問合せの方法は問わない)
等により、積極的にその実態把握に努めるものとする。
特に、利用者から苦情等があった場合や捜査当局から照会があった場合は、その対応の
みに留まることのないよう十分留意するものとする。
⑵ 無登録業者等に係る対応について
無登録業者等に関する情報を入手した場合、被害の拡大を防ぐ観点から下記のような対
応に努めることとする。
① 苦情等の受付
利用者等から無登録業者等に関する情報提供があったときは、極力詳細な内容(業者
名、所在地、代表者名、電話番号、営業の実態、申出人氏名、申出内容を捜査当局へ連
絡することの可否等)を聴取した上、次により対応する。
イ.他の財務局に本拠地のある無登録業者等の情報を受け付けた場合には、申出内容に
ついて聴取したうえで、本拠地のある財務局へ情報を連絡する(その後の対応は連絡
を受けた財務局で対応することを基本とする)。
92
ロ.連絡先が判明しない業者については、更なる情報収集に努める。
ハ.情報提供者から業者及び他の機関に連絡しないように求められた場合には、情報提
供者に不利益が及ばないよう留意する。
ニ.無登録が疑われる場合には申出人においても捜査当局へ情報提供をするよう慫慂す
る。
ホ.「管理台帳(別紙様式3)」を作成し、無登録業者等に関する苦情・照会の内容及び
当該業者に対する当局の指導内容、相手方の対応等を時系列的に整理・記録しておく。
② 無登録で暗号資産交換業を行っているおそれが認められた場合
直接受理した情報や金融庁・他局から提供された情報により、業者名及び連絡先が判
明しており、かつ、営業実態もある程度判明している業者については、無登録業者等へ
の直接確認(電話やメール等の確認等、問合せの方法は問わない)等により実態把握に
努め、その結果、当該業者が無登録で暗号資産交換業を行っているおそれがあると認め
られた場合(不在等で連絡が取れない場合も含む。)には、別紙様式5により文書による
照会を行い、次により対応する。
イ.無登録に至った原因に故意性・悪質性がなく、利用者保護の観点から問題のある業
者でない場合には、直ちに暗号資産交換業務の停止及び暗号資産交換業者の登録を求
める。
ロ.無登録に至った原因に故意性・悪質性があると認められる場合、その他利用者保護
上必要と認められる場合には、かかる行為を直ちに取り止めるよう別紙様式4により
文書による警告を行う。
なお、無登録業者等への直接確認等や別紙様式5による文書の発出を行うまでもな
く、無登録で暗号資産交換業を行っていることが判明している場合にあっては、直ち
に別紙様式4により文書による警告を行うこととする。
(注)別紙様式4による警告や別紙様式5による照会を行う場合において、利用者保
護上必要と認められるときは、捜査当局、関係省庁等に連絡するものとする。
③ 警告を発したにもかかわらず是正しない場合
別紙様式4による警告を発したにもかかわらず是正しない者については、必要に応じ
捜査当局に対し告発を行うものとする。
④ 公表等
「警告」、「告発」の措置を取った場合は、これらの措置の対象となった業者の商号、
名称又は氏名(法人の場合は代表取締役又はこれに相当する者の氏名を含む。)、所在地
又は住所(個人の場合は都道府県名及び市町村名又は特別区名とし、非居住者にあって
はこれらに相当するもの)及び無登録で行っていた暗号資産交換業の内容等について、
ウェブサイトで公表を行うとともに、「管理台帳」及び「警告文書」等の写しを速やかに
金融庁長官へ送付する。報告を受けた金融庁においては、公表を行った業者をリスト化
し、金融庁ウェブサイトで公表を行うものとする。
なお、警告の対象となった業者の所在地が虚偽であることが明らかな場合や、業者の
93
所在地が不明な場合等、警告書の交付が困難な場合には、警告書の発出を行うことなく
上記の公表等を行うものとする。
(注)無登録業者等に係る対応については、捜査当局による捜査に支障が出る場合を除
くこととする。なお、捜査当局より当該業者に係る登録の有無の照会等を受けたこ
とをもって、直ちに捜査当局による捜査に支障が出る場合と判断するものではない
ことに留意するものとする。
Ⅲ-1-7 新規サービス(新商品・新規業務)への対応
近時、暗号資産交換業者においては、デジタル技術の進展から、関連ビジネスが目まぐ
るしく変化し、新たな暗号資産交換業務が開始・検討されている。
こうしたことを踏まえ、暗号資産交換業者からの新規サービスに関する相談に対しては、
監督当局としては、イノベーションの促進と利用者保護のバランスに留意しつつ、潜在的
なリスクの把握に努めるとともに、不適切な商品の組成・提供がされることのないよう、
「Ⅱ 暗号資産交換業者の監督上の着眼点」を踏まえながら、特に、以下の点に留意して確
認を行うものとする。
① 新規サービスの導入にあたり、暗号資産交換業者自らが、利用者保護及び法的な観点
から問題点等の検討を行うとともに、網羅的にリスクを洗い出しているか。また、洗い
出したリスクに対し、十分な対応策を講じているか。
(注1)システム開発を伴う場合においては、顧客や業務に対する影響が生じないよう、
適切なシステム上の対応がなされているかを、十分に評価・確認を行う必要がある。
(注2)なお、導入時に、リスクを適切に評価していたとしても、市場環境の変化や規
制の強化等によって、当初の想定とは異なるリスクが、暗号資産交換業者や利用者
に対して顕在化することも考えられることから、取扱い開始後のリスクの変化を定
期的にモニタリングし、その結果をサービスの内容や対応策の見直しに反映させる
など、PDCA サイクルを機能させることが求められる。
② 新規サービスの内容に応じた社内規程、顧客向け商品説明資料の策定や人員の配置等、
適切に内部管理態勢が整備されているか。
また、新規サービスの提供に際しての利用者への説明方法及び内容(プレスリリース
文を含む)は適切か。
(注)なお、利用者への説明については、Ⅱ-2-2を参照すること。
③ 営業推進部門から独立した立場からの適切な事前審査を行った上で、取扱いの可否の
決定を行っているか。経営陣の関与は適切か。